不動産について、よくあるご質問の解説を設けました。
広告の物件概要を見て、最寄駅からの徒歩時間が書かれていますが、徒歩8分とはどの位の距離のこと?
 
 
 
“80m歩くのに1分かかる”として計算します。これは「不動産の表示に関する公正競争規約」で定められており、具体的には住宅地図等で計測します。したがって、徒歩8分とは640mまでの距離ということになります。ここで気をつけなければならないことは、一戸建では団地入り口まで、マンションではメインゲートまでの距離で、信号待ちは考慮されていません。筆者は数物件の表示の誤りに遭遇しています。購入予定物件は是非ご確認を!
 
 
家族で住む住宅地を探しているが、静かで住みやすい土地を探すめやすは何?
 
 
 
住宅地としての住みやすさをはかるポイントは、@地域環境(地域要因)とAその住宅地の環境(個別的要因)に区分されます。次の内容をチェックされては如何でしょう。

@ 地域環境
 ・ 最寄駅と都心との交通施設の状態と時間的距離
 ・ スーパー、銀行、郵便局、病院などが近隣にあるか
 ・ 区役所、市役所やその出先施設、学校、公園などが近隣にあるか。
   特に小さいお子さんのいる家庭では学校区は重要なポイントとなります。
 ・ 下水道、都市ガスの利用が可能か。最近では、CATVや光ファイバー通信網の受信が
   可能かも重要になってきています。
 ・ 街並みがきれいか。また、行き届いた管理がなされているか。
 ・ 見晴らしがよいか。また、視界を遮る高層物はないか。
 ・ 汚水処理場、送電施設、煤煙の原因となる工場などが近隣にないか。
 ・ 近くに川があり、または地盤起伏が大きいことなどから、洪水や地すべりの危険は
   ないか。
 ・ 近くに交通量の多い幹線道路、または鉄道線路はないか。
 ・ 法令上の用途地域が住宅系か。

A その住宅地の環境
 ・ 起伏はないか。土質は建物の加重に耐えられるか。土壌汚染はないか。
 ・ 埋蔵文化財はないか。建物を建てる妨げとなる地下埋設物はないか。
 ・ その土地が接面する道路の幅員、構造に問題はないか。その道路は連続しているか、
   行き止まり道路か。また、通行車両は多くないか。
 ・ その土地の間口、奥行、地積、形状に問題ないか。
 ・ その土地は接面道路より高いか、低いか。擁壁がある場合その構造に問題はないか。
 ・ 中間地か、角地か。
 ・ 上下水道、都市ガス、電気、電話、CATVなどの利用が可能か。費用負担はないか。
 ・ 隣接地との境界が杭、プレートなどにより明確か。越境構造物などがないか。
 ・ 文教地区、建築協定等があるか。

 
 
売りに出ている土地の値段が高いのか安いのかを知る上で何かめやすはあるの?
 
 
 
国税庁の財産評価基準書における路線価図が参考となります。
調べたい土地の前面道路の路線価を見ればよく、ホームページ上でも公開されていますので便利です。ただ、この財産評価基準は、相続税や贈与税の対象財産を評価する場合に利用されるもので、適正な市場地価、実勢地価を繁栄しているとは限りません。また、それぞれの土地はそれぞれの顔を持っていることから一律にこの路線価を当てはめることにも無理があります。いずれにしろ、その路線上の地価水準を知る上では参考となります。

この他、地価公示や都道府県地価調査も参考となります。これらは、一般の土地取引における目安としたり、不動産鑑定士等の鑑定評価や公共用地の取得価格などを決める際のよりどころとなったり、相続税評価や固定資産税評価の際の目安として、また、企業会計における資産の時価評価にも活用されています。利用方法は、調べたい土地と公示地点・調査地点とを比べておおよその価格を判断しようとするものです。例えば、調べたい土地が公示地点と比べて駅に近いから公示価格より高いとか、道幅が狭いから安いといった感じです。これらもホームページ上でも公開されていますので便利です。 値が相当はる場合などは、専門家の不動産鑑定士に評価を依頼するのも一つの方法です。ちなみに、筆者は不動産鑑定士です。

 
 
同じ面積の住宅地なのに価格に幅があるのはなぜ?
 
 
 
一般的に新たに造成されたり区画整理された団地におけるそれぞれの画地の価格は、面積が同じであっても異なるのが通常です。これは接面道路の状況、日当たりや眺望などがそれぞれの画地において異なるからです。画地の面積が30坪(100u)程度の場合、通常土地一杯に建物を建てるため、建物が込み合い日当たりや眺望などに悪影響を与えます。このような場合南側に道路がある画地は、道路が東側、西側や北側にある画地より価格が高くなりその差は大きい傾向があります。特に東南角地は日当たりや眺望などが特によく高い値がつきます。

一方、画地の面積が60坪(200u)以上の場合は、道路が東側、西側や北側にあっても通常ある程度の庭を設けることができ、日当たりや眺望などへの影響を小さくできることから価格差は小さい傾向があります。ちなみに、理想的な条件の住宅地は、南側傾斜の団地で60坪(200u)以上の東南角地といえるでしょう。でも高くて買えない?
 
 
街中の今は耕作されていない田んぼの土地を買いたいのだがどのような点に注意すればいいの?
 
 
 
まず、一般的に都市計画法上の都市計画区域内における市街化区域内であればOKですが、それ以外は農地法などの規制を受けるため注意が必要です。また、田んぼの土は目が細かく排水性が悪いので、そのまま建物敷地として使うのは不等沈下などの原因となるため危険です。一般的にはすきとって処分するか、地盤改良をすることが必要で費用がかかります。いずれにしろ、綿密な調査が必要です。
 
 
2m程度の擁壁のある高台の土地を買う予定だが、どのような点に注意すればいいの?
 
 
 
高台の土地は日当たりや眺望がよく、住宅地としてはいいですよね。でも以下の点に注意して下さい。

・ 擁壁の構造をチェックする。
擁壁には、石をそのまま積んだままの擁壁、ブロック積擁壁、コンクリート製重力式 ・L型・逆T字型擁壁などいろいろな種類があります。背後の土の高さ、背後の土が切土か盛土かなどにより適切な擁壁が使われているかをチェックします。

・ 擁壁の表面をチェックする。
擁壁にヒビがはいっていないか。膨らんでいないかをチェックし、安全性を確認します。

・ 擁壁の排水パイプをチェックする。
雨が降って、擁壁背後に水が溜まると背後の土圧が増し危険です。まず、擁壁背後に排水施設が設けてある場合を除き、擁壁背後の水を排水するための排水パイプが設置されていなければなりません。排水パイプが設置されていてもそれが機能していなければこれも問題です。チェックの方法としては、雨が降った直後に排水パイプの流れ口に透明のコップを置き流水を取ります。ちゃんと水が流れているか、土で濁っていないかをチェックします。土で濁っている場合は背後の土が流れ出ている可能性がありますので地盤沈下の恐れがあります。筆者のこれまでの経験では、昭和40年代後半までに築造された擁壁に問題が多いようです。当然、擁壁に問題がある場合は、その土地の資産価格はその程度に応じて低くなります。
 
 
買った土地の高さが高いので、擁壁を設けようと思うが、どのような点に注意すればいいの?
 
 
 
擁壁の構造・デザイン・築造費用など、それとA有効宅地面積と築造費用に注意します。なお、土地の高さが2m前後あればボックスガレージを築造して土地の有効利用を計るのも一案です。ボックスガレージの上を庭にできますよ。

@擁壁の構造・デザイン・築造費用など
擁壁の種類には、石をそのまま積んだままの擁壁、ブロック積擁壁、コンクリート製重力式・L型・逆T字型擁壁などいろいろな種類があります。石をそのまま積んだままの擁壁、特にデザイン性の高い自然石は景観がよく落ち着いていますが、土地の高さが50cmまでが安全でしょう。ブロック積擁壁は土地の高さが5mまでが安全でしょう。それより高い場合はコンクリート製擁壁を使うことになります。デザインについては周辺の景観と調和する色合い、デザインがいいでしょう。石やブロックにはいろいろなもがありますので選ぶのも大変です。コンクリート製の擁壁でもコンクリートを打ち込む(流し込む)際の型枠に模様が施されているものやあらかじめ工場で造られたものを現場で設置するだけのものなどいろいろあります。デザイン、費用などを検討して選びましょう。

A 宅地面積と築造費用
一般的にブロック積擁壁はコンクリート製擁壁より安く築造できます。しかし、ブロック積擁壁は擁壁背後に傾けて築造されるため、土地の高さが高いほど有効宅地面積が減少します。一方、コンクリート製擁壁はほぼ垂直に築造されるため、有効宅地面積を減少させることはありません。いずれを用いるかはデザインや土地価格と擁壁築造費用との関係などを検討して決めます。


 

  最近土壌汚染が社会問題となっているが、土地を購入する場合どのような点に注意すればいいのか?  
 
 
土壌汚染が特に問題とされるようになったのは、土壌汚染対策法が平成15年2月に施行され、市街地の土壌汚染が直接規制されるようになったからです。当然、土地が土壌汚染されている場合は、その程度により資産価格は低くなりますので注意が必要です。土壌汚染があるかないかは都道府県などで購入しようとする土地が同法第5条に規定されている指定区域に指定されている場合は土壌汚染されていると判断できます。指定されていない場合でも次の調査を行うことが必要です。

フェイズ1 と呼ばれる。
調査現地を視察して土壌汚染の形跡はないか、その土地に詳しい人から土壌汚染について話を聞く、また、過去の住宅地図・航空写真により工場はなかったかを調べます。明らかに土壌汚染の心配がない場合はこの段階で調査は終了します。

フェイズ2 と呼ばれる。
調査土壌や地下水をサンプリングして、化学分析調査を行うことになります。

 
 
市街地で土地を購入するのだが、隣接地との境界などが心配である。どのような点に注意すればいいの?
 
 
 
日本ではまだまだ土地は高いもの。ましてや都心での土地の値段は坪(3.3u)数十万円から数百万円、さらに数千万円する土地もあります。当然購入契約面積がちゃんとあるか。隣接地の構造物などが越境していないかをチェックすることになります。手順は以下のとおりです。

@ まず、法務局で公図と地積測量図を入手します。地積測量図が法務局に備え付けら れていない場合は、売主に測量を御願いしましょう。

A 購入予定の土地が杭やプレートなどで境界が明示されていることを確認します。これ
らがない場合は、売主に設置を御願いしましょう。

B 次に、地積測量図や測量図に記載してある各辺の長さが本当にあるかをメジャーテ ープで測ります。

C 隣接地の構造物などが越境していないかを確認します。この時、地表面だけを見るだ けでなく、その土地の上空において隣の建物のエアコンなどが越境していないか、 隣の土地の擁壁などが地中において越境していないかを確認します。
 
 
不動産会社から宅地が売りに出ているが、その価格はどのようにして決めているの?
 
 
 
不動産会社は基本的には土地の仕入値、造成工事費や諸経費に一定のマージンを乗せて決めています。ただ、土地での儲けを考えず、その土地に建物の建築をさせてもらうことにより、建物の建築工事費で儲けようとしている場合もあります。(建築条件付土地分譲)ただ、最近では、競合物件が近くにある場合など売れ行きが悪い場合はマージンを小さくして、又は採算割れを覚悟で売り出している場合もあるようです。
 
 
よく不動産の価格は賃貸収入などからの収益還元価格が適正だと言われますが、住宅地についてもそうなの?
 
 
 
確かに収益還元価格は理論的で説得力があります。特に商業地は需要者が投資採算性を重視する投資家が中心であることから収益還元価格が適正な市場価格となっています。しかし、一般の住宅地については、需要者は通常自分の住む家を建てることを目的していることから、賃貸住宅を建てていくら儲かるかを考えて購入しません。それよりも環境がよく自分が住みたい地域の住宅地を選ぼうとします。その際、住宅地の価格の判断基準は近くで条件が似ている住宅地の価格を参考とする、または不動産業者の販売価格を信用して買うことになるでしょう。(比準価格)つまり、今の日本での住宅地の価格は収益還元価格となっていないのが実態です。なお、不動産鑑定士が住宅地の価格を評価するときは、通常収益還元価格も参考としますが、結果として比準価格に近い評価額になることが多いようです。

 

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